★【本店ストック成虫No.41】S76改
- YY
- 2023年7月1日
- 読了時間: 4分
更新日:2023年11月2日
S76改
2023年5月羽化

相変わらず、スペック記載の無いボトルから取り出しております、S76改です。明日から夏季SALE期間になります。SALE期間にS76改を狙っていただいても1点しかありませんので、この記事はSALEのPRにはなりませんね。そもそもPRをするつもりがないのは先に言及している通りで、色々な個体を通じてホペイの愉しみ方や、ホペイ飼育の歴史(文化)に触れていければいいな、と思っております。

ボトルから取り出して、マットをかぶった個体を手に取り、「はっ」としました。やっぱりストックして良かったな・・・と思わせてくれる1頭です。体長は77㎜超えと大きかったのですね。バランスが取れているからか、74㎜くらいの個体のまとまりを感じさせてくれます。それに伴って頭の幅も大きいですね。顎はもう少し太く見えますが控えめの6.5㎜というところでした。シルエットは申し分ないので、胸部にもう少し薄くコンパクトになってもらえれば最高、というところでしょうか。胸部に少しディンプルありますが、胸部の肉厚感を削り取れば伴ってなくなっていくでしょうから。

ホペイが、入荷の頃から産地コレクションブーム、そして盆栽ホペイなんて呼ばれる方面に足を進め、飼育・累代個体ならではの迫力や形状追及の世界に入っていき、スペックアップも含めた形状追及を純血&産地遵守の土俵でおこなうようになっていったという変遷を辿るにあたり、福建省北峰SL(Special Lineage)の存在を避けて通ることは難しいでしょう。血統の名前をたくさん知っていることよりも、どのような動きがあったかを説明するために血統の名前が引用されるという説明の方が初心者の方や、過去のホペイに興味がある方にはありがたいのではないでしょうか。

北峰SLが優良血統であったことはそうだと言えますが、北峰SLがトップクラスの血統であったかどうかについては、私には語る権利が無いくらいの飼育経験しかありません。ただ、この北峰SLは美しく無理のない顎のカーブと、きりっと長い稜線のエッジを有しており、そのうえコロンとして可愛い厚みとバランスを持っていたため、「SLテイストのアウトの優良血統を立ち上げよう」という取り組みは多かったのです。意外と、その他の人気血統と比較して入手しやすいという印象もありました。実際にどうだったかどうかは今となっては正確には分かりませんが、中々SLという血を使いこなすのは難しかったようで、今日につながるSLブレンドの有名血統というものは極めて稀なのではないかな、と思っています。

S76改は、非常に多くの血をブレンドした系統になりましたが、SLや、それよりももう少しレアリティが高かったTP:Cという系統を含んでいます。当家の過去のブログを遡って頂くと確認できるSL(TP:A)×TP:CのCBF1系統のテイストを確かに感じます。

あの頃の個体と比較するとスペックが上がり、間延びした印象も払しょくできました。もちろん、まだまだ系統のブラッシュアップの余地があり、系統の性能アップをしなければならないという課題はあります。ですが、SLブレンドとして、SLっぽさを残した系統としては、今活躍する有名血統と肩を並べられるし、順昌クラシック・・・みたいな感じで、北峰クラシック・・・って位置づけの系統なんですよね、これ。
SLは当時は超有名血統でしたが、今ではマイナー血統になりましたね。マイナー血統ってね、すごくいいですよ。今から、”これからホペイを始めよう”、”これからオリジナル血統を立ち上げよう”と思っている方や、”なんとなく今の個体、理想に近いのに物足りないんだよな~”と感じている方が震える、レシピづくりのコツの一つを公開します。
それは、隠し味でマイナー血統をブレンドする・・・ということです。マイナーであっても今日生き残っているなら、かつての有名血統だし、かつて注目されたなりの個性を持っています。最近は、同じような血統の組み合わせという箱庭の中での、血&雌雄判別勝負になっているところがありますが、そこにマイナー血統を組み込むと、マイナーなりに他の方のホペイが発現しない雰囲気・・・・それも気配やオーラといった文字通り雰囲気レベルの差別化を、わずかながらハッキリとした違いとして体現してくることが多いのです。